若者VS大人、現役世代VS高齢者、等の世代間対立が流行しています。
実際は異なる世代間で利害は対立していません。
富を合法的に不当に多く持っていっている人と、不当に少ない富しか手にしていない人の間では利害が対立しています。階級対立と言われるような種類のものです。
しかし階級対立があることを知っている人は少なく、実際には利害が対立していない世代間対立が流行っています。
以前は世代間対立など流行していなかったのではないか
2000年代の初めの頃なら、世代間対立など流行っていなかったのではないでしょうか。
その頃は私は20代で社会人で働いていて、政治運動や社会運動などもしていましたが、社会の中で「若者VS大人」「現役世代VS高齢者」などの構図で「世代間対立」などというものが流行っていたり、誰かが世代間対立を煽ったりしていた覚えはあまりありません。
気候変動対策を求める運動で世代間対立の言葉を聞くようになった
私の場合は、気候変動対策を求める運動で「若者VS大人」などの世代間対立の言葉を聞くようになりました。
Fridays For Future の人がよく「若者VS大人」の対立を強調する。確かに正しい面がある。
ネットやテレビなどで、Fridays For Future の運動に取り組む人が「若者VS大人」という対立構造に基づいた言葉をよく言っています。
現在の高齢者も中年も若者も、自分より20〜30歳以上上の世代の政治運動や社会運動不足の結果を受けて自分自身も苦労して生きて、自分より20〜30歳以上下の世代から「貴様たちはきちんと運動をしていたのか。ひどい社会を引継ぎおって」と言われます。
一人の人間が0歳で生まれて何歳か何十歳か百数十歳でこの世を去っていくので、多くの人が「若者」「中年」「高齢者」を経験していきます。
ただし、気候変動の場合は人類が滅亡する可能性が高く従来の問題以上に深刻で、西暦2000年以降に生まれたような人たちなら
「貴様たち中高年は少なくとも気候変動によって死なずに逃げ切れるかもしれないが、俺らわたしらは残りの人生が比較的長いので死ぬ可能性が高いのだ。地球温暖化をめぐる政治運動・社会運動が足りなかった貴様たちを断罪する。」
という気持ちになるのは当然で、今まで以上に「若者VS大人」という対立構図が強調されたのではないかと思います。
怖くなり、Fridays For Future のデモに行けなくなった
自分の地元でもFridays For Futureのデモ行進などは開催され、気候変動の問題は深刻で全世代が取り組まなければならないので、私もネットで情報を知る度に参加してきました。
しかし、直接言われることはないものの、メディアなどでFridays For Futureの人たちが「若者VS大人」という対立構図を依然として強調し続けているので、中年の私はだんだん怖くなり、1年前くらいからFridays For Future が呼びかけるデモなどの取り組みに参加しなくなりました。
気候変動を止めなければ人類が滅亡してしまうことは明らかで運動は強めなければならないので、その他のデモなどの取り組みへの参加やネットでの発信などを続けています。
「現役世代VS高齢者」の世代間対立を煽る言葉をよく聞くようになった
国や自治体の予算の使い方をめぐって「現役世代VS高齢者」という世代間対立を煽る言葉をよく聞くようになりました。
高齢者ヘイトが流行している
高齢者ヘイトのような言葉も流行するようになりました。
高齢者は医療費などがかかるので自殺しろ、という類のことを言っている人間をテレビのバラエティー番組がよく出演させていたり、さらには「NEWS23」などの比較的まともなニュース番組だと思っていたテレビ番組も出演させたりしています。
ジャーナリスト・教育者という肩書のお笑い芸人が高齢者に対するヘイトスピーチと言わざるを得ない動画を配信し、他のジャーナリストからそれはヘイトスピーチであるという批判を受けたりしています。
【15分ライブ】2023.4.18 たかまつなな氏取材 単独アフタートーク|阿部岳Tube
「シルバー民主主義」という言葉も流行っている
「シルバー民主主義」という言葉も今なお流行っています。
この言葉もかなりナンセンスな言葉ですが、まともな取り組みをしていると思える「目指せ!投票率 75%プロジェクト」なども「シルバー民主主義」という言葉を言ってしまったり、TBSの報道番組で普通に使ったりしています。
「目指せ!投票率 75%プロジェクト」はその後「シルバー民主主義」という言葉の使用について訂正し謝罪しています。
その際に発表された以下のPDFの文書で、「シルバー民主主義」という言葉と「世代間対立」を煽るやり方の何が問題か整理して書かれています。
訂正と、今後「シルバーポリティクス」「シルバー民主主義」を使わない理由 目指せ!投票率 75%プロジェクト実行委員会
「世代間格差」「シルバー民主主義」などが虚構であり問題を含んでいることをのべている論の数々
「世代間格差」「シルバー民主主義」などの言葉が流行り世代間対立が煽られ続けている昨今の社会でも、そういった世代間対立を煽る図式や言葉が虚構であり大きな問題を含んでいることを説明した論がいくつも出ています。
虚構の対立を煽ると言えば以前からあるものに「公務員VS民間企業の労働者」という図式がありまます。
実際には利害が対立していない公務員と民間企業の労働者の間が対立することで、結果的に富を不当に多く持って行っている大資本と利権集団から操り人形として操られているわけです。
以下は「世代間格差」「世代間対立」「シルバー民主主義」などと言われるものの問題点などをのべたウェブの記事の例です。
訂正と、今後「シルバーポリティクス」「シルバー民主主義」を使わない理由 目指せ!投票率 75%プロジェクト実行委員会
世代間対立を煽る物言いを気にせず運動する
選挙結果の統計などを見れば、若い者も化石燃料業界と癒着している政治勢力に投票している割合が多かったり、投票自体に行かず気候危機対策を放棄していたり、教育予算を他の諸国並みに確保しようとはしない政治勢力に投票している人が多かったりします。
若くない者も、化石燃料業界と癒着している政治勢力に投票している割合が多かったり、投票自体に行かず気候危機対策を放棄していたり、高齢者福祉などの予算を他の諸国並みに確保しようとはしない政治勢力に投票している人が多かったりします。
何を見ても世代間対立も世代間格差もないので、引き続き勉強して実際に存在する階級対立の構図をよく知って、政治運動や社会運動や日々の業務に取り組んでいくことにします。
日本のカーボンバジェットを使い切るまでもう数年しかなく、ほとんど余裕はありません。