キリスト教の聖書の選び方、買い方

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三浦綾子文学などを読んでキリスト教や聖書に興味がわいたら、聖書を買って読んでみたくなります。
しかし聖書はどこで買えるか、どのような本なのかなどが分からないこともあります。
キリスト教の聖書の選び方、買い方をみてみましょう。

聖書は色々ある

現在日本で読まれている聖書は一種類ではなく、何種類もあります。
翻訳者の異なる聖書がいくつも出版されています。
翻訳も色々な時代に行われており、翻訳された時期の違う聖書が何種類も出版されています。
聖書を出版している出版社もいくつもあり、異なる出版社から複数の聖書が出版されています。

メジャーな聖書は一般書店にあり、マイナーな聖書はキリスト教専門書店などにある

中型の新共同訳聖書や、フランシスコ会聖書研究所訳の新約聖書など、メジャーな聖書なら一般書店で売られています。
品揃えの少ない小さい書店ならないかもしれませんが、ある程度大きめの書店なら見つかります。

日本聖書協会が発行している聖書なら、キリスト教専門書店には置いてある場合が多いです。

岩波書店の新約聖書翻訳委員会訳の新約聖書のようなマイナーな聖書はかなり大きな一般書店でなければ置いていないかもしれません。
岩波書店の新約聖書の場合、キリスト教の教団の影響下で翻訳しておらず聖書学者が学術的に正しく翻訳しようというようなスタンスで翻訳しているらしいので、キリスト教専門書店には置いていないかもしれません。

聖書の選び方 好きなものを買うか、周囲の人と同じ聖書を買ってみる

ただキリスト教の聖書を読みたい場合は、どれでも良いので読みたいものを読みます。

もしキリスト教会に通ってみる予定があり、聖書も買おうと思う場合は、通うキリスト教会の礼拝で使っている聖書と同じ種類の聖書を購入した方が便利です。

キリスト教の聖書の具体例

キリスト教の聖書の具体例をあげてみます。
気が向く聖書を読んでみましょう。

岩波書店の、新約聖書翻訳委員会訳、旧約聖書翻訳委員会訳の聖書

岩波書店から出版されている新約聖書翻訳委員会訳の「新約聖書」と、旧約聖書翻訳委員会訳の「旧約聖書」は主に聖書学者の人などが翻訳していて、説明なしに意訳せずに、翻訳に関して細かく説明が載っています。
元のギリシャ語を直訳するとどのようになるのかを知りたいときなどに便利な聖書です。

例えば、新約聖書のパウロの書簡で、同じ「罪」でも元の言語では複数形の「罪」か単数形の「罪」か、などがその都度注などで示されています。

また、例えばパウロの書簡で、見た目には引用とは分からないような箇所で、この部分はおそらくパウロが当時の信仰告白の定型文を引用している可能性が高い、というような説明が載っていたりし、パウロが言っている内容を正確に理解するために便利です。

フランシスコ会聖書研究所訳の新約聖書などを読むと、イエスには弟も妹もおらず、イエスの弟や妹として登場する人物はイエスのいとこか何かであって弟や妹ではない、マリアはイエスの誕生後も一貫して処女だというような解説が載っていたりしますが、岩波書店の新約聖書翻訳委員会訳の新約聖書ではイエスの弟と妹として登場する人物は当然ながらイエスの弟と妹であり、マリアの娘と息子たちであるというように普通に説明されています。
そのように宗教の教団の事情に影響されず淡々と翻訳されています。

岩波書店の新約聖書翻訳委員会訳の「新約聖書」、旧約聖書翻訳委員会訳の「旧約聖書」は色々な形のものが発売されています。
A5・上製本、B6・上製本、オンデマンド印刷のB6・並製本、などが出ています。
新約聖書翻訳委員会訳の「新約聖書」は2023年に「新約聖書 改訂新版」(A5・上製本)も出版されています。

新約聖書 改訂新版 - 岩波書店
最新研究を踏まえた訳語の大胆な工夫、周到な注釈により、新たな読解の可能性を開いてきた「岩波版新約聖書」。合本版初の改訂。

1995年に岩波書店から出版された新約聖書翻訳委員会訳「新約聖書」の、2023年に発売された改訂新版。
かなり大きい書店なら在庫があるかもしれませんが、それほど大きくない書店ならおそらく在庫はありません。

I マルコによる福音書 マタイによる福音書 - 岩波書店

1995年に岩波書店から出版された新約聖書翻訳委員会訳「新約聖書」の第1巻「マルコによる福音書/マタイによる福音書」。
この本は古いのでおそらく古本でしか手に入りません。

旧約聖書Ⅰ 律法 (上) - 岩波書店
旧約の中心,モーセ五書の新訳.聖書学の進展を,訳文と傍注・用語解説に反映する

岩波書店から出版されている旧約聖書翻訳委員会訳「旧約聖書」の第1巻(上)「律法 創世記 出エジプト記 レビ記」(B6・並製本)。
この本はオフセット印刷をして製本した一般的な本ではなく、電子写真方式のプリンターなどで出力して製本を行うオンデマンド印刷で製作される本です。
おそらく需要が少なすぎてオフセット印刷と通常の製本で本を作ると採算が取れないのでオンデマンド印刷で出版しているものと思われます。
岩波書店のサイトやその他のネット書店などで注文して購入できます。


旧約聖書 イザヤ書・エレミヤ書・エゼキエル書・十二小預言書 3 預言書 / 旧約聖書翻訳委員会 【全集・双書】

岩波書店から出版されている旧約聖書翻訳委員会訳「旧約聖書 机上版」の第3巻「イザヤ書・エレミヤ書・エゼキエル書・十二小預言書」(A5・上製本)。
この本は古いのでおそらく古本でしか手に入りません。

カトリック教会の人が翻訳したと思われる聖書

サンパウロというところが発行している、カトリック教会の人たちが翻訳したと思われるフランシスコ会聖書研究所訳の日本語訳聖書があります。

新約聖書FB-A6N 原文校訂による口語訳 [ フランシスコ会聖書研究所 ]

一般書店でよく見かける聖書で、ある程度品揃えのある書店なら在庫がある場合が多いです。


聖書 原文校訂による口語訳

一般書店でよく見かける聖書で、ある程度品揃えのある書店なら在庫がある場合が多いです。


現在多くのキリスト教会で使用しているごく一般的な聖書 新共同訳聖書

現在多くのキリスト教会で使用している、日本聖書協会の新共同訳というごく一般的な日本語訳の聖書です。
日本のプロテスタント教会の関係者やカトリック教会の関係者が共同で翻訳した日本語訳聖書です。

文章は全く同じで、サイズや製本方法の異なる製品が多数出版されています。

タイトルが「聖書」としか書かれていなければ、たいていは新約聖書と旧約聖書の両方が収録されています。

新約聖書に加えて、旧約聖書の詩編が収録されている「新約聖書 詩編つき」という聖書もあります。

新約聖書と旧約聖書に加えて、旧約聖書続編というものが収録された「聖書 旧約聖書続編つき」という聖書もあります。旧約聖書続編というのは、旧約聖書の関連文書ではあるもののキリスト教の教団の見解によって正式な正典には含まれていないものです。

NI44 聖書 新共同訳 小型(A6判) ビニールクロス装 [ 共同訳聖書実行委員会 ]

ある程度品揃えのある書店なら在庫がある場合が多いです。

NI44DC 聖書 新共同訳 旧約聖書続編つき 小型(A6判) ビニールクロス装 [ 共同訳聖書実行委員会 ]

旧約聖書続編つきの新約聖書/旧約聖書です。
旧約聖書続編というのは、旧約聖書の関連文書ではあるもののキリスト教の教団の見解によって正式な正典には含まれていないものです。
ある程度品揃えのある書店なら在庫がある場合が多いです。

NI250 新共同訳 中型新約聖書 紙装 中型新約聖書(紙装) [ 共同訳聖書実行委員会 ]

大きい書店なら在庫があるかもしれません。

日本聖書協会から出版された最新の日本語訳聖書 聖書協会共同訳

2018年末に日本聖書協会から出版された、新共同訳より新しい聖書協会共同訳という日本語訳聖書があります。

キリスト教会に行っても聖書協会共同訳の聖書を使っているところはまだ少ないです。

聖書 聖書協会共同訳 小型 SI44 [ 日本聖書協会 ]

ある程度大きい書店なら在庫があるかもしれません。

口語訳聖書

「口語訳聖書」は、新共同訳より前に翻訳された日本語訳聖書です。
現在も日本聖書協会から口語訳聖書がいくつか発売されています。

JC44 口語訳 小型聖書 ビニールクロス装 小型聖書 [ 日本聖書協会 ]

ある程度大きい書店なら在庫があるかもしれません。

文語訳聖書

「文語訳聖書」は「口語訳聖書」よりも前に翻訳された日本語訳聖書です。
文語で書かれているので、現代の口語の文章に慣れている我々が読むととても読みにくいです。
現在も日本聖書協会や岩波書店などから文語訳聖書が発売されています。

JL343 文語訳 小型新約聖書 詩篇附 詩篇附 [ 日本聖書協会 ]

ある程度大きい書店なら在庫があるかもしれません。

文語訳 旧約聖書 I 律法 (岩波文庫 青803-4)

普通の岩波文庫なので、岩波文庫の棚がある書店なら在庫があるかもしれません。

その他、個人訳の聖書など

 その他、色々な人が翻訳したキリスト教の聖書や、キリスト教の一派が出版している聖書がいくつもあります。

聖書はビニール表紙・革表紙ではなく、紙の表紙のものを選ぶ

昨今は、海洋のプラスチック汚染が国際的な大問題になっています。
間も無く私たちは滅亡する可能性が高まっています。

ビニール表紙の本は、いずれ捨てられても、ビニールは分解されずに残り、水害などで陸から海へ流れ出て、海洋を汚染し、海の生き物が死にます。
津波や水害が起これば、都市にあるプラスチック類も大量に海に流れ出ていきます。

海の生き物が死ねば、私たち陸の生き物も死にます。
自然は全て繋がっていて循環して成り立っているからです。

また、もしビニールを焼却処分した場合、海洋のプラスチック汚染は防げます。
その反面、温室効果ガスが発生してしまいます。

国際環境NGOグリーンピースなどでは、プラスチックの焼却処分をしても地球温暖化を進めてしまうので、焼却処分はプラスチックによる海洋汚染の解決策にはならない、プラスチックの利用自体をやめていく必要がある、と訴えています。

使い捨てプラスチックが特に量が多いので、まずは使い捨てプラスチックの利用中止が世界で進んでいますが、使い捨てプラスチック以外のプラスチックもやめるべきです。

本の表紙なら、豪華な製本にせよ簡易的な製本にせよ、ビニール・プラスチックを使わない製本の方法は普通にあります。
いまどき無理をしてビニール表紙にする必要はありません。

どうしても表面をコーティングしたいなら、ニス引き加工などをすれば済みます。

そこで、ビニール表紙の本は買わないようにし、紙の表紙の聖書を買いましょう。

また、皮革の製造において、動物を非倫理的に扱っているケースがたくさんあることが様々な団体の調査などで明らかになっています。
皮革の生産に関わっていない私たちがすぐできる行動として、皮革製品はとりあえず買わないようにするべきでしょう

予備知識なしでいきなり聖書を通しで読むのはおすすめしない

いきなり聖書を読むと気分が悪くなるかもしれない

キリスト教に興味がわいたら、とりあえず聖書を通しで読んでみようと思うかもしれません。

人の自由なので、いきなり聖書を通しで読むのも良いでしょう。

ただし、私の経験から言うと、いきなり聖書を通しで読むと気分が悪くなるかもしれません。
とくにヘブライ語聖書(旧約聖書)には、古代人たちが宗教儀式で動物を犠牲として殺す話がたくさん出てきてとても嫌な気分になります。
現代で同じ行為をしている宗教団体があったら、動物愛護法違反で通報する必要があります。

ヘブライ語聖書(旧約聖書)、新約聖書に関わらず、古代人が書いた文書なので、現代の人権意識や動物福祉の感覚で考えると怒りを禁じえない描写もたくさん出てきます。

いきなり聖書を読むと意味が全くわからない

いきなり聖書を通しで読んだ場合、意味がほとんど分かりません。

例えばヘブライ語聖書(旧約聖書)なら、どの辺りが神話で、どの辺りが本当の歴史で、どの辺りがただの物語なのか、ほとんど区別がつきません。

人間が800歳まで生きた話などが作り話か本当か分からない語り方で出てきて、いったい何を言っているんだこの書物は、と怪訝に思うでしょう。

新約聖書には「聖書」が頻繁に出てきます。
この本自体が「聖書」なのに何を言っているんだこの本は、と怪訝に思うでしょう。

キリスト教を紹介している本を何冊か読むと良い

聖書について基礎的なことを知りたい場合は、キリスト教について紹介しているキリスト教の入門書のような本を何冊か読むことをおすすめします。

キリスト教について紹介している本であれば、必ず聖書の説明も出てきます。

また、出版物であれば出版社と著者が責任を持って執筆しているので、ネット上の情報とは違いある程度正確に説明されています。

予備知識を得た後、聖書を通して読むと良い

上記の本などを読んで聖書に関して軽く予備知識を得た後に、新約聖書、ヘブライ語聖書(旧約聖書)を通して読むと良いでしょう。

聖書について予備知識があれば、聖書を冷静に読める

上記の3冊くらいの本を読んだ後なら、ヘブライ語聖書(旧約聖書)、新約聖書を通しで冷静に読めると思います。

宗教儀式で動物を殺す場面も、
「何なんだこの野蛮な古代人どもは。人間以外の生き物たちにも命の尊厳があると知っている現代人の自分はこのような行為を悪い見本として、さらに動物福祉を進めよう」
と冷静に考えて読めます。

また、例えば新約聖書に出てくる「聖書」は現代のヘブライ語聖書(旧約聖書)の元になっている文書群のことを言っているらしい、と何となく分かって読めます。

聖書に書いてあることは信じ込まず、批判的に読む

昔は、聖書に書いてあることは疑問を持たずに信じ込めば良い、という傾向もあったようです。

例えば三浦綾子の随筆などを読んでいると、そういった考え方を見かけます。

しかし、それは昔あった傾向で、よくない傾向です。

聖書は批判的に読みましょう。

古代人が、現代の私たちから見て非倫理的なことをしているなら、こういうことは良くない、と思って読みます。

現代の私たちから見て人権意識にかけているナンセンスな話が出てきたら、これはナンセンスだ、と思って読みます。

イエスが無花果の木を枯らしたら、実がなっていないからといって枯らしては駄目だろう、と訝りながら読みます。

インターネットで聖書について少し調べたい場合

出版社や団体の公式ウェブサイトで調べると良い

インターネットで少し調べたい場合は、聖書を出版している出版社のサイトなど、団体の公式のウェブサイトで調べてみることをおすすめします。

日本聖書協会のウェブサイトなどに聖書についての簡単な説明が掲載されています。

ネット上の個人の書き込みは無視

インターネットで聖書について調べると、「●●知恵袋」の記事など、個人が書いた書き込みが大量にヒットします。

ところが、個人が書いた聖書についての書き込みの多くは差別主義者の極右キリスト教徒の書き込みで、差別的暴力的な言葉で溢れており、ほとんど罵詈雑言のような文章がたくさん書かれています。

明日も会社で仕事があるわけで、そう気を滅入らせていられるほど私たちも暇ではないので、キリスト教右派の個人が書いている聖書の説明など見ないで、明日の仕事に備えて、少し飲み、早めに寝ましょう。

筆者
わたし

差別や暴力が渦巻き、弱い者や不器用な者や真面目にやろうとする者を嘲り笑い、利他的な行動を偽善呼ばわりし、「老害」「シルバー民主主義」などの悪意の言葉が流行し虚構の世代間対立を煽る言説を真に受ける者は多い一方で、教育を放棄し予備校化した学校教育の影響で、実在する階級対立を認識できる者は少数しかいない今の日本社会と、差別や憎悪犯罪の温床と化したインターネットの世界と、法律に従ったフィルタリング設定をせず保護者からスマホを与えられた子ども達がネットを通じ性犯罪被害にあったり殺されたりしている現状に恐れを抱き、今日も怯えながら暮らしています・・・

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