気候変動の現状
平均気温が産業革命前より1.45°C高くなってしまった
世界気象機関(WMO)の報告書によれば2023年は記録上最も暖かい年であり、世界の地表付近の平均気温が産業革命前の基準線を1.45°C上回りました。
南極海氷がさらに100万平方キロメートル小さくなってしまった
2023年の世界気象機関(WMO)の報告書によれば、9月の南極海氷の面積が過去最小記録よりさらに100万km2も小さくなってしまいました。
氷河も1950年以降で最大の消失
2023年の世界気象機関(WMO)の報告書によれば、氷河も1950年以降で最大の量が消えてしまいました。
気候変動で死者も多数出ている
気候変動による水不足、洪水、感染症の蔓延、食料価格の高騰がもたらす栄養不良などによる死
気候変動による水不足、洪水、感染症の蔓延、食料価格の高騰がもたらす栄養不良、極度の高温・熱波などにより多くの人々が命の危機にさらされています。
気候変動は生死に関わる問題ではないと言っている人をよく見かけますが、それは間違いで、気候変動の影響ですでに多くの死者が出ています。
気候変動関連死
報道によると、日本なども暑くなりすぎて命の危険が高まっています。
今の日本の気候変動対策
日本の2030年度のCO2削減目標「2013年度比で46%削減」 低すぎて問題になっている
以下は世界の2030年までのCO2削減目標の例です。
2030年までのCO2削減目標
- 日本 2013年度比で46%削減(2010年比で42%減)
- EU 1990年比で55%減
- イギリス 1990年比で68%以上減 35年には78%減
- アメリカ 2005年比で50~52%減
- 国連が示した全世界平均 2010年比45%減
日本は一応先進国という建前になっている割に、日本の削減目標は全世界平均の目標よりも低く、低すぎて世界で問題になっています。
日本は石炭火力発電所の新増設と輸出を継続中 石炭をやめようとせず問題になっている
以下は世界の石炭火力からの撤退予定年の例です。
石炭火力を撤退する予定の年
- 韓国 石炭火力の発電電力量比率を引き下げる方針(2018年 約40%→2030年 約20%)
- イギリス 2024年10月1日までに、排出削減対策が講じられていない石炭火力をフェーズアウト。
- フランス 2027年1月1日までに石炭火力を退出。
- イタリア 2025年までに石炭火力をフェーズアウト(サルディーニャを除く)。
- ドイツ 遅くとも2038年まで(理想的には2030年まで)に石炭火力をフェーズアウト。
- カナダ 2030年までに排出削減対策が講じられていない石炭火力をフェーズアウト。
- アメリカ 2035年までに「電力部門のCO2排出実質ゼロ」
- オーストラリア 再生可能エネルギーの発電電力量比率を引き上げる方針(2022年 32%→2030年 82%)。石炭火力の発電電力量比率(2022年 47%)は引き下げられる見通し。
- 日本 石炭火力から撤退しない
国連が石炭火力からの撤退を要請し、まずはじめに先進諸国が撤退年限を表明して石炭火力発電から撤退を進めていて、その後先進国以外も順次撤退していくことになりますが、日本は「石炭を使い続ける」と言い続けていて、世界で問題になっています。
現状で、日本は国内で複数の石炭火力発電所の建設を進め、東南アジア諸国への石炭火力輸出も進めていて、世界の脱炭素の動きに逆行しているとして世界で問題になっています。
日本は原発の再稼働と新増設を進める 資金が無駄になり再エネの妨害になり問題になっている
日本は脱炭素のために原発を再稼働したり新増設したりする予定です。
原発による脱炭素効果は微々たるものに過ぎないのに原発に莫大な資金が流れ込んでいるため、大幅な脱炭素効果がある再生可能エネルギーに回せる資金がとても少なくなり、結果的に原発が脱炭素を妨害する形になっています。
気候変動問題と原発 (経済学者の大島堅一氏の動画配信チャンネル)
日本はCO2貯留やアンモニアや水素の利用を前提にしている 化石燃料を使い続けることになり問題になっている
日本はCO2を回収し地下に貯留する技術(CCS)を付けた火力発電を進めたり、火力発電所でアンモニアを混ぜて燃やしたり、水素を作って使ったりすることに力を入れています。
CCSもアンモニア混焼も化石燃料で火力発電をし続けるものなので、脱炭素をする気がないということで問題になっています。
電気で動かせるものを電気で動かさずに電気で作った水素で動かせば効率が悪くなるので、電気を使えるものはできるだけ再エネで発電した電気を使って、簡単に電気で代替えできない分野に限っては電気で水素を作って使うことになります。
しかしそのようにせずに電気で動かせるものを水素で動かそうとしている向きがあり、問題になっています。
政府や産業界がCCS、水素、アンモニアに力を入れたい理由
産業界がCO2貯留技術(CCS)や水素やアンモニアに力を入れたいのはなぜかというと、CCS・水素・アンモニアなどを扱う場合は現有の化石燃料を利用した設備や技術や権益を使い続けられるので、CCS・水素・アンモニアを進めた方が今の調子で金を儲け続けることができるからです。
政府は、現在の政権与党はパーティー券購入などを通じて事実上の企業献金のようなものを受け取っており、産業界から金をもらっている手前、当然金をくれた産業界の要望に応える法制度を作ることになるので、産業界がCCS・水素・アンモニアを進めたいと言えば政府もCCS・水素・アンモニアを進めると言うことになります。
それでは主権在民なのに主権者の国民の意思で政治が行われずに産業界が政治を金で買っているようなものではないか、と多くの人々が思っています。
このような異常な状況を止めるためには企業団体献金を受け取らないし賄賂も受け取らない政党に投票して、産業界から金をもらわずに一般市民個人の寄付などで運営している政党に政権を取らせる必要があります。
CCS、水素、アンモニアに力を入れると脱炭素は進まず、貧しくなっていく
CCSをしようにも日本国内に安定してCO2を貯蔵できるような場所はあまりないので、オーストラリアなどの諸外国に金を払って引き取ってもらうことになります。日本の市民たちが支払う金が増えます。
アンモニアも輸入することになるので、日本の市民たちが支払う金が増えます。
水素も、天然ガスから作るグレー水素や、化石燃料から作ってCO2はCCSで貯蔵したブルー水素は、結局は化石燃料を輸入する必要があるので日本の市民たちの支払う金が減りません。
CCS、水素、アンモニアに力を入れると産業界が短期的には得しますが、ほとんどの日本国民は損をし、長期的に言えば日本が再エネ導入が遅れて世界から没落していくのでほとんどの日本国民も産業界もみな損します。
平均気温が1.5°Cや2°C以上になり破滅しないために、必要な目標
気温上昇で世界が破滅しないために日本が出せるCO2の量
2021年のIPCCの報告書で、世界の気温上昇を1.5°C以内にするために日本が出せるCO2の量は4000億tとされています。
もし2050年にCO2排出量を0にし、なおかつそれまでに排出したCO2が4000億t以内なら気温上昇を1.5°C以内に抑えられる可能性があるということです。
もし2050年にCO2排出量を0にしても、2030年までにCO2を大量に出し続けてすでに4000億t以上出してしまったら、すでにCO2を出し過ぎてしまっているので気温上昇を1.5°C以内には抑えられないということです。
そのように、2050年時点でCO2排出量を0にすればOKというわけではなく、それまでの期間にどれだけの量のCO2を出してしまうかが重要です。
バケツの水に例えると
蛇口から水を1分間出してバケツに入れます。
勢いよく出を出し続けて1分後に止めたら、水がバケツ一杯たまります。
勢いよく水を出して10秒後からは勢いを弱めたら、水がバケツに少ししかたまりません。
いずれの場合も1分後に水の出を0にしましたが、それまでの間に水をたくさん出すか少ししか出さないかでバケツにたまる水の量は大きく異なります。
CO2排出も、最終的に2050年にゼロにするとしても、それまでの間にCO2をたくさん出し続ければ大気中に大量のCO2を出してしまい、少ししか出し続けなければ大気中に出すCO2は少しで済みます。
大気中にCO2をたくさん出すほど気温は上昇してしまいます。
よって、2050年時点でCO2排出量を0にすること以上に、2050年までの間CO2を大量に出し続けず早めにCO2を大幅に減らして、2050年までの間に出し続けたCO2の合計を少なくすることが重要です。
2030年に46%という日本の削減目標では、気温が1.5°C以上になってしまう
2030年に46%削減という日本の目標のペースで削減を続けると、2030年を少し過ぎた頃にすでにCO2排出が4000億tを超えてしまいます
4000億tを超えると気温は1.5°Cより上がって破滅的な結果になります。
日本は2030年に62%削減で1.5°C以内に抑えられる可能性がある
日本は2030年に現在の46%削減目標ではなく62%削減を目標にすると、2050年までにCO2排出量の合計を4000億t以内に抑えられて気温上昇を1.5°C以内に抑えられる可能性があります。
途上国に対する公平性などを考慮すると、今までに尋常でないような量のCO2を出し続けてきた先進国の日本の目標は62%でも公平とは言えないという評価もあります。関連書籍に説明が載っています。
温室効果ガスを減らす方法
とにかく減らしやすいところから早めに大幅に温室効果ガスを減らす必要があります。
減らしやすい部分で早めに大幅に減らしておけば、減らしにくい分野で減らすのに時間がかかっても2050年までにCO2排出量を4000億t以内に抑えられる可能性があるからです。
減らしやすい分野も早めに減らさずに何年も大量に出し続けて、減らしにくい分野も減らすのにさらに時間がかかったら、2030年代でCO2排出量の合計があっというまに4000億tを超えてしまいます。
石炭火力発電をやめる
石炭火力発電をやめます。
石炭火力発電をやめると並外れた量のCO2排出を削減できます。
発電は太陽光と風力と水力などの再エネがすでにあり脱炭素がすぐにできる分野なので、石炭火力発電をやめて再エネによる発電に変えます。
なお、現在は東京などの資本が日本中で乱開発を行なってメガソーラーや野生生物を無視した風力発電所を作っている状況で歪みが出ています。
この状況はやめて、太陽光も風力も地場産業として地元で運営します。すると発電の収入は地元の収入になり、東京の資本に金を払って電気を買うような状態にならないので、地元が豊かになります。
まず石炭火力発電をやめて再エネに変えておけばとりあえず大量の二酸化炭素が減らせます。
再エネによる電力があれば電化できるものは電化して再エネの電気で動かして脱炭素を進められます。
最後に簡単に電化できない分野が残りそこが脱炭素を完了するまでの間にCO2排出量が4000億tを超えないようにする必要があるので、そのためにも脱炭素化しやすい分野は大急ぎで脱炭素化し、脱炭素化に時間がかかる分野を脱炭素化するための余裕を残しておきます。
クルマの所有をやめる 周囲の人々へのメッセージとして
マイカー所有をやめます。
気候正義を唱える人々が「飛び恥」と言って二酸化炭素排出量の多い飛行機を使うことを避けて鉄道を利用したりしています。
これは良いことです。
FFFなどが「飛び恥」と言っているのは聞きますが、鉄道で移動可能な場所へ行くのにクルマを使うことを「クルマ恥」と言ってクルマ依存を避けている人はそれほど見かけません。
クルマは聖域扱いしている人が多く、脱炭素や脱原発の社会運動に取り組んでいる人で無批判にクルマ依存生活を送っている人が多くいます。
周囲の人々へのメッセージとして、膨大な量の二酸化炭素を出して移動するプライベートな乗り物であるマイカーの所有をやめましょう。
マイカーを持っていない人は町内や会社などにいくらでもいます。
「飛び恥」などと言う一方でマイカーを乗り回している人が脱炭素や脱原発をうったえても、聞く耳をもってくれる市民はいません。