社会に問題があって、良くない状況なので変えようと思ったら、ネットで情報発信して世論を広げたり、行政や議会に要望書を出したり、マスコミに意見を送ったり、署名を集めて要請書を議会や行政やその他の組織に送ったり、デモ集会をしたりデモ行進をしたり、選挙で自分の主張に近い政党や候補者に投票したり応援したり、自分が選挙に立候補したり、色々します。
そのように何となく具体的な行動がいくつか頭に浮かびますが、何となくです。
するべきことが明確になれば社会を変えやすいです。
問題を社会問題にして、社会を変える
世の中に問題があっても、誰も問題だと思っていない状態のままではいつまで経っても状況は変わりません。
クルマによる人権侵害が深刻で、一部の学者や市民がクルマ社会の問題について主張をしていても、ほとんどの人が問題だと認識していないので、社会問題にはなっていません。
クルマ社会は歩行者などが交通犯罪被害にあい人権が侵害されていて問題があると人々が気付き始め、マスコミがこの問題を取り上げるようになってさらに人々の関心が高まり、多くの人が人権侵害が起きている現在のクルマ社会は問題だと思うようになれば、このクルマ社会の問題が社会問題になって、解決に向かって進めます。
社会の変え方を具体的に説明してる本
自分は問題だと気付いているが他人は気付いていない世の中の問題を社会問題にして解決するための具体的な行動の内容が秩序立てて説明されている、荻上チキ「社会問題のつくり方 困った世界を直すには?」(翔泳社)という本がありました。
この本は十代くらいの子どもから大人までを対象にしているようで、絵がたくさん載っています。
絵が多いので一見子ども向けかと感じますが、子ども向けではなく子どもから大人も対象です。社会運動に取り組んでいる大人でこの本の説明のように社会運動の具体的な取り組みを秩序立てて整理できている人はそれほどいません。
絵が多く文章が少ないので本を読むのが好きでない人でもすぐ読めます。
本をよく読む人なら絵が多過ぎると思い、文字だけの普通の新書などの方が読みやすいと思うかもしれませんが、絵は気にせずに読めば問題ありません。
この本を読めば社会の変え方が具体的に分かり、いたって取り組みやすくなります。
「私には(俺には)何もできないから、祈ることくらいしかできないから……。」という状態に陥らずに済みます。この本に載っている行動リストから自分が今日から実行できることを見つけて実行すれば良いだけです。
- Chapter1 気づく
絶望の「仕組み」に気づく/「絶望モード」から「解決モード」へ/「何も変わらない」のって、なんでだ?/「わがまま」を「社会問題」化する/無力から微力へ - Chapter2 つながる
チームを作って、存在を知らせる/ゴールを決めて、旗を掲げる/理念と意思決定方法を決める/誰にでも役割がある/活動資金を調達する/「反対意見」と「妨害」を想定する/メンタルケアを意識する - Chapter3 調べる
「調査」も社会運動だ/数字に広報してもらう/声を集める/資料を集める/比べる/「白書」を作る/話し合う、話し合う、話し合う - Chapter4 伝える
概念をつくる/メディアを理解する/議題設定をする/スポークスパーソンをつくる/記者会見を開く/メディアを活用する/デモって意味あるの?/解決モデルを提案する/いろんな角度から訴え続ける - Chapter5 動かす
ロビイングする/政治家とつながる/託す/つなげ続ける/法案を作る/法案を作る/傍聴する/結果を受け、発信する/休みながら、次、を考える/ 社会は、変えられる
補足 社会を変えるときに重要なこと 無理しない
なお、社会を変えるためには「無理しない」ことが重要です。
ネアカな感じの人ばかりの市民グループに一人だけ根暗な人が加わって活動したとして、根暗な人はとてもやりにくいかもしれません。あまり喋らなければ「喋れ」と言われ、喋れば「喋るな」と言われたりします。活動しやすければそこで活動し、やりにくければあまり場違いなグループに入らなければ良いだけです。
根暗な感じの人ばかりの市民グループに一人だけネアカな人が加わって活動したとして、ネアカな人はとてもやりにくいかもしれません。ひっきりなしに喋りながら作業していたらうるさがられたりします。活動しやすければそこで活動し、やりにくければあまり場違いなグループに入らなければ良いだけです。
最近の若いもんは根性がない、などと事実無根の戯言をのたまう高齢者が多いグループなら、若めの人は活動しにくいかもしれません。「あなたの言っていることは事実無根だ」と言ったら逆上されたりします。気にならなければそこで活動し、やりにくければグループを抜ければ良いだけです。
若者VS大人という対立の構図を持ち出して「シルバー民主主義」などという虚構のものを実在するかのように言い中年を見下してくる若人ばかりのグループに中年がメンバーになったら、中年は活動しにくいかもしれません。気にならなければそこで活動し、やりにくければグループを抜ければ良いだけです。
パソコンを使うのが大の苦手だという人が市民運動でウェブサイト運営を担当したりデジタルのデータ処理を担当させられたりしたら、運動が苦痛になり、また運動の効率も落ちます。そのような苦手な作業は担当せず、得意な人が担当すれば良いだけです。
組織のリーダーをするようなタイプではない人がリーダーになって行政機関との話し合いの場で仕切り役をやらされたら、しどろもどろになってうまくいかず、苦痛で仕方ありません。そのような苦手な役割を無理して担当せず、得意な人が担当すれば良いだけです。
無理せず、自分が活動しやすい環境で、自分が得意な分野の作業で、のびのびと自分がやりたいように運動を進めると、運動が頓挫したりせず効率よく早く社会が変わります。
無理をするのは自分の職業の仕事だけで限界です。
(※社会運動をしている非営利団体などの職員なら、職業として運動をしているので、衣食住に必要なモノやサービスを作る通常の職業に就いて仕事以外の時間に社会運動に取り組んでいる市民とはおそらく事情が異なると思います。)
お笑いコンビハリセンボンの箕輪はるかのモットーは「無理しない」であると、以前お笑いの雑誌に載っていました。