個人事業主として仕事をする場合、見積り金額も自分で計算して提示する必要があります。
当てずっぽうでなく根拠のある見積り金額の計算方法を考えてみましょう。
見積り金額は何となくの雰囲気で決めない
何となく根拠なく見積り金額を決める例
商品の仕入れなどが必要なら、商品の仕入れ値と、それに何となくいくらかの金額を上乗せした金額を見積り金額にしたとします。
一方、例えば自分がパソコンで作業をするだけで完結する仕事なら、何となくの雰囲気で値段を決めたとします。
いずれの場合も、根拠なく何となく仕事の複雑さなどから考えて適当に見積り金額を決めてしまっています。
クラウドソーシングなどでは根拠のない金額がたくさん見受けられる
クラウドソーシングサイトでは、様々な仕事が発注側の希望の金額を示して紹介されています。
その場合の希望金額は、物の値段についての基礎知識がない発注担当の人が適当に付けた全く根拠のない金額の場合がよくあります。
なおかつ、そういった根拠のない金額は異常に低い金額の場合が多いです。
見積り金額は根拠なく決めないようにする
見積り金額を根拠なく決めてしまうと、仕事が成り立たなくなります。
仕事が成り立たなければ、生活に必要な物を買うことができず、生活が破綻します。
適正な価格で仕事をして、はじめて仕事が成立し、生活に必要なものを得ることができます。
モノやサービスの価格には根拠がある
世の中にはモノにせよサービスにせよ、様々な商品が売られています。
フリーランスのような自営業者がパソコンで行う作業も商品です。
商品には色々な価格がつきますが、いいかげんに付けているわけではありません。
根拠があります。
商品の値段は商品を作るのに必要な労働の量で決まっている
電器店で買う「パソコンのパーツ」という商品も、床屋で買う「髪を切るサービス」という商品も、その商品の価格は商品に含まれる労働の量で決まっています。
単純に言えば、例えば1人で1ヶ月かけて作った商品なら、1人の1ヶ月分の労働の値段がこの商品の値段になります。
2人で1ヶ月かけて作った商品なら、2人の1ヶ月分の労働の値段がこの商品の値段になります。
2人で2ヶ月かけて作った商品なら、2人の2ヶ月分の労働の値段がこの商品の値段になります。
仕入れた材料を作るのに必要な労働の量も含める
仕事によっては、商品を作るのに材料を買ってくる場合もあるでしょう。
例えば角材を買ってきて商品を作る場合、自分の労働だけでなく材料の角材を作るのに必要な労働の量も含めて値段が決まります。
角材を作るのに2人で1ヶ月間かかっているとします。
この角材を材料として買ってきて、自分1人で1ヶ月間かかって商品を作ったとします。
この場合、2人の1ヶ月分の労働と、1人の1ヶ月分の労働の金額の合計が最終的な商品の値段になります。
労働の値段は労働した人が普通に暮らせる金額
労働の値段と言っても何円か分かりません。
雰囲気としては、労働の値段は、労働した人が普通に暮らせる金額です。
例えば、日本に住んでいる人が日本で1ヶ月労働したとします。
この場合、この人が日本で1ヶ月間、不自由なく普通に暮らすのに必要な金額が1ヶ月の労働の値段です。
日本なら社会が結構発展しているので、1ヶ月間食事をして、本を買って読んだり、休日は行楽に出かけたり、たまには旅行に行ったり、子どもがいれば子どもを学校に通わせたり、といったことを普通に行うのに十分な金額ということになります。
具体的に 仕事の見積り金額は作業時間で計算して決める
1.自分の労働の時間単価を計算する
例えば、自分が1ヶ月間、不自由なく普通に文化的な生活をするのに必要な金額を考えます。
家族がいるなら家族の生活の分も必要なので、1人暮らしの人より多めになったりもするでしょう。
その1ヶ月分の金額を1ヶ月の業務時間で割れば、例えば1時間何円必要か分かります。
2.見積り依頼の案件の作業時間を計算する
見積り依頼があったとします。
その仕事を完成させるのにかかる作業時間を計算します。
半日間、2週間、といったように計算します。
3.労働単価×作業時間 で金額を計算する
自分の労働単価に、見積り依頼の案件に必要な作業時間をかけて、金額を計算します。
4.材料の値段を加える
材料の仕入れなどが必要な仕事の場合は、材料の値段を加えます。
5.水道光熱費などその他の金も考慮する
仕事をしていれば、材料の仕入れなどの他に水道光熱費もかかるでしょう。
その他、文具も必要だったり、細々した金がかかります。
それらの金も自分が売る商品の値段に足します。
6.市場の相場を考えて調節する
需要と供給の関係で、市場での価格が変わっています。
見積り依頼のあった仕事の市場での相場を考えます。
競争が激しくて値崩れしているなら、少し下げる場合もあるでしょう。
または、値崩れしている仕事で、市場の相場に合わせて適正でない低価格で受注しても商売上良いことがないと思ったら仕事を断ることもあるでしょう。
詳細は書籍を読んでおく
経済学の基礎知識があれば、自分が販売する商品の適正な値段はどのくらいなのかを考えることができます。
細々したテクニックはその他の経済学の本で
商品の値段などの基礎知識のような経済学の土台は上記の本で学べます。
一方、経済に関する細々した知識は、例えば『マクロ経済学・入門 第5版』(有斐閣アルマ)などを読むと学べます。